FC2ブログ
理系・文系を重ねて見る光景は
人外は微睡に潜む 完結編 ぬれる
以前に「人外は微睡に潜む」というエロチックな短編を前編後編としてこのブログに載せたのだけど、ドキドキしたという声もいただいたので、実は密かに?続編を書いてみた。より変態的になってしまったけど。
ということで、興味のない方、不快に思われる方は今回はスキップしてください。

  人外は微睡に潜む 完結編 ぬれる

「ぬれる」なんて書くとなんかどきどきするでしょう?
もうすぐ雨の季節で、いささか鬱陶しいけど雨に関わる風景はきらいではない。
雨の日の電車はなかなか楽しくて、窓をみればギザギザながらまっすぐ下に向かって落ちていた雫が、発車と共に横に向きを変え、スピードが上がると上昇に向かうことさえある。そして停車が近づくとまた落ちてくる。
電車の床を見れば乗降客の持つ傘に先から雫が落ち、床にミミズのような線を描きながら広がっていく。
見ていて飽きないのだった。
家の窓から見る雨だれや、また雨音だって楽しい。少しばかり濡れたってかまわない。

「雨がガラスに当たると水玉としてはじかれるのに、コンクリートに落ちると広がってぬれる。このように、ぬれるとは基板の上で液体がさまざまに振る舞う現象です。ものがぬれるという現象はとても身近でありながら謎に満ち、科学の最前線のテーマですと新聞の科学欄にあった。
子供の頃はサトイモの葉っぱの上の水玉となった雨で遊んでいたけど、やはり不思議でならなかった。
科学欄は続いて「通常、高分子や液晶はマクロな物理理論で、半導体の特性や超伝導は量子力学で説明され、別々の原理で動いている。ぬれは両者を橋渡する興味深いテーマ」とい、さらに「生物でもぬれはよく見られ、生体反応の鍵を握っている可能性があります」、それは理論物理、量子力学の世界でもあった。
一方で、心理学と物理学、生物学を橋渡しするようなのが吊り橋理論。
渓谷に架かる吊り橋で、向こう岸から渡って来る男性に対し、橋の中央で待ち受ける女性が恋に陥りやすいというもので、物理的な揺れが生理的な興奮となり、恋愛感情に繋がるというか、錯誤する。
また揺れる橋での緊張感を共有したことも恋愛感情に発展する場合があるというものだ。
揺れない吊り橋での対比実験(こちらは効果がみられない)もあって、一応実証的成果として認められているらしい。
ただ、吊り橋理論から始まる恋愛は多くの場合、長続きせず、つまり、極限状態、または一時的な緊張状態による興奮による恋愛では、継続的な恋愛には発展していかないという、まあ、当たり前の結論となっている。
でも、デートにおけるジェットコースター、お化け屋敷、ホラー映画の有効性が証明されるものでもあり、ストックホルム症候群にも近いものもあるかもしれない。ドメスティック・バイオレンスも吊り橋理論的な部分もあるのかもしれない。
暴力という物理的な身体的刺激が生理的な興奮として残り、いささか屈折した恋愛感情と錯誤するというような。
そしてそれは長続きしないから、繰り返しの暴力となり継続性を維持する。
恋は魔法のようなものだから、錯誤もあるのだろうけれど、やはり素敵な魔法がいいに決まっている。
でも魔法はやはり人の外側にあるものだ。

彼女が堕ちたと思ったのはまだ入り口だった。彼女は男を待つ女になっていた。連絡がなければ狂おしくなるほどに。呼びだされれば激しく抱かれた。幾度目かに軽くタオルで縛られたとき、また新しい刺激に震えた。それを見越したかのように重ねるほどに強く縛られた。
身動きできないような抱かれ方は刺激的になった。今日はホテルでの密会だった。
「今日は手錠だよ、さあ、後ろに手をまわして」
逆らえない女になっていた。
「そして、目隠しだ」彼の手にはアイマスクがあった。服は着たままだ。もう彼女は何も見えず、手の自由は拘束されていた。
彼はささやくように言った。
「君を見たいんだ。許してくれるね」
彼は言葉を残して遠ざかる。彼女は頭が真っ白になる。
(どういう意味?わたしはどうなるの?)
カタリとドアの開く音がした。
(誰かが入ってきた。わたしを見てる)
彼女は理解した。わたしは差し出されたのだ。
「いや、来ないで」彼女は叫ぶ。でも小さな声だ。彼が吸わない煙草の匂いがした。知らない男が近づいてくる。言葉は発しない。指が唇に触れる。
「いや」顔をそむける。頭をつかまれ、動けない。指が唇をなで、歯茎をなで強引に口に侵入した。彼女は悲鳴を上げることも出来ず、指をなめさせられていた。
胸に手がかかる。脱がされむき出しにされる。自分の唾液にまみれた男の指が乳首をつまんでいる。吸われた。
手がスカートの中に伸びてくる。
「いや」
彼が見ているのだ。知らない男を受け入れようとしている彼女を。それを思っただけで彼女はジュンと濡れた。それでも彼女は懸命に抵抗した。ショーツを脱がされ、両腿を抱えられた。貫かれるとき彼女は十分に濡れていた。
「ああ」
彼女はたやすく受け入れ、やがて男の躍動にこたえるように彼の前で腰をうねらせ、突き上げた。
(知らない男に抱かれているのに、見られているのに、わたし)
なおも陶然と貫かれたままの彼女のアイマスクが取られた。一瞬、明るくて何もわからなかった。前にいるのは彼、貫いているのは彼だった。
「どう、興奮した?」
「わからなかっただろう?そのための煙草、言葉も出さなかっただろう。キスもわかるといけないからね」
彼女は泣いた。
「でもよかっただろう、たっぷり濡れていた。絞り出すように締め付けてきたよ。もう君はそういう女なんだよ」
「分かっただろう?」彼の声がささやく。
「今度はもっと楽しませてやろう」彼は微笑んだ。
「わかるね?」
彼女はまたジュンと溢れた。
彼女はまた腰を少しずつ動かし始める。

壁ドン、吊り橋も物理的な胸キュンだ。さわやかな風が抜けるような胸キュンだ。だから憧れるように胸キュンという言葉があまたで使われる。でも胸キュンは物理現象を伴う。濡れるほどでなくても予備現象はあるだろう。言葉も使い方によっては同様だ。胸キュンなる魔法の言葉の奥にはあくなき性が眠っている。彼女は思い知る。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/07/18(水) 16:20:26 | | #[ 編集]
人外は微睡に潜む 完結編 ぬれる
この手の小説ではありがちなのだろうとも思いますがこういうのは自分でもどきどきします。
「半分、青い。」で秋風先生が「その構成力のなさ 物語をつくる力の弱さは努力では補えないと思います」と鈴愛に優しく言い渡すシーンがありましたが、まさに僕でもあり、やっぱり補えませんか。まあ、僕にはアイデアも言葉の力もありませんが。
それでもショートショートならたまにちょっと書いてみようかと思っちゃうんだなあ。
励ましになります。ありがとうございます。
今年の雨は大災害をもたらし心痛みますが、やっぱり雨は好きです。

2018/07/19(木) 08:40:57 | URL | クプクプ #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック