理系・文系を重ねて見る光景は
タイラー・コーエン教授の「大停滞」からの新たなる地平
米国の政策形成に携わる関係者や経済論壇で少し前大きな話題となったというタイラー・コーエン教授(米ジョージ・メーソン大学)の「大停滞」(未邦訳?)。文化経済学の領域での業績で知られている人らしいのだが、「大停滞」の発表以来、活発な議論が起きているという。
著者の主張は明快で、米国経済の繁栄を支えてきた条件、すなわち「容易に収穫できる果実」が失われているという。
それは1.自由な土地 2.イノベーション(技術革新)、そして3.頭がよいが教育を受けてこなかった子供たちという三つであり、19世紀末までに1が消滅し、現在は2と3が消滅しつつある。日経新聞「経済教室」(若田部昌澄 早大教授)より

僕はなんでもミーハーにすぎないから真摯な議論はできないけど、確かに素人目にも分かりやすく、経済発展の原動力はこんなに単純だったのか。
19世紀まではまだやすやすと収奪できる土地があり、産業革命以来、目覚しい技術革新による産業の新興があった。
また、子供たちに限らず向学心が高まった時代でもあったのだろう。
それでももう収奪すべき土地がないなのら、すでに広い国土や人口を持つアメリカや中国、ロシア、インドなどがやはり大国であり続けるのだろうけれど、あとは技術革新。
ただ、技術革新でもITのイノベーションには異論もあるらしく、たしかにIT(情報技術)は産業や生活を変えたけれど、過去のイノベーションと異なり雇用や収入を生んでいないと。米グーグルですら現在の雇用者は24400人にすぎず、裾野が広い自動車など製造業との差は歴然。現在の成長部門と目される健康・医療・教育部門も問題が多い。政府部門の関与が大きく、多くの場合、規模が拡大しているのは費用が拡大しているからにすぎない。また、そうした部門での生産性は低いー。
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小売業界でいえば総合スーパー、百貨店、コンビニ、大型専門店、ネット通販などが激烈な競争を繰り広げ、そのなかでやすやすと収奪できた町の商店街をなす書店、レコード店、八百屋、米屋、酒屋、電気店、文具店、洋品店などをあっという間に渉猟しつくし、今はやすやすと奪うべきなき戦線に立つから収奪を続けてきた総合スーパー、コンビニ、大型専門店、ネット通販なども停滞となり、新たな工夫にしのぎを削るのだろう。
一見、それは成熟・公平な社会に向かうようでありながら、実はやはり富も技術もモラルも偏在していくのだろうか。
また、かつての「自由なる土地」と変わりなく、いつか同様の宿命を持つものであっても人類は「自由なる土地」を求めて宇宙に向かうしかないのだろうなあ。
それはまた巨大なイノベーションをもたらし、人を必要とする。
あるいは重力に縛られる人たちは仮想空間に「自由なる土地」を見出すのかもしれない。
仮想空間もまた無限だけど、どうも無限とか永久とかは科学的には怪しげだからなあ。
アニメやSF小説にある絵空事のような巨大ロボット・瞬間移動・超能力・時間旅行・電磁バリヤー…など未来の技術的な可能性を科学・物理学の視点から検証する「サイエンス・インポッシブル」でも永久機関と予知夢(夢・仮想空間)だけは全否定ですからね。
仮想通貨も話題になっているけど、だいたい無限とか仮想なんて概念を学問以外の日常に持ってくると、ロクなことはなく、永久機関とか、ねずみ講、マルチ商法とか、人を惑わすようなまさに永遠の罠。
仮想通貨などは無限と欲望が直結するような気がするからなあ。ミダス王の教訓は人類永遠の教訓。
今までは物理的に無限感に過ぎなかったものを、ネットは無限感をリアルにしたところがありますものね。
宇宙ではまず月の収奪戦が始まるけど、南極のような統治にはならないのだろうなあ。
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テーマ:国際政治 - ジャンル:政治・経済

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