理系・文系を重ねて見る光景は
遠い空の向こうに ロケット少年
「るらら科学の子」というのに科学が出て来ないのもなんだから、ロケットのことを。
米映画「遠い空の向こうに」は世界初の人工衛星スプートニクが空に描く美しい軌跡を見て、すっかりロケットの魅力に取りつかれてしまう少年達の物語です。
当時のアメリカ南部の保守的な風土なども読み取れる佳作で、田舎の炭鉱町に住む少年たちが都会に出るためには、アメフトのトップ選手になって大学の奨学生になるくらいしかチャンスはないらしいのだ。
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でも少年達は無理解と偏見のなかで、そしてささやかな応援のなかで全米科学コンクールでグランプリを得てチャンスをつかみ取ります。スプートニクの時だから1957年の頃の物語ですね。
1968年は日本ではラムダロケットの時代で、確かテレビ中継もしていて何度も打ち上げ失敗を見て、がっかりしていた頃です。またアメリカやソ連のロケットが垂直に打ち上げるのに、日本のロケットは斜めで不思議に思ってた。
憧れや疑問を持って日本でもロケット少年も生まれたのだろう。
ぼくもロケットも宇宙も今も好きだけど、理系向きではなかったからSF・アニメ・マンガに向かったのかもしれない…言い訳だけど。
ちなみに「遠い空の向こうに」の原題「October Sky」は「Rocket Boys」のアナグラム。
もちろん、少年達がスプートニクの美しい軌跡を見た空も10月だった。

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川端康成 片腕
1968年には川端康成がノーベル文学賞を受賞している。
川端康成は「伊豆の踊り子」「雪国」などでよく知られるけど、実は「眠れる美女」「片腕」など幽暗妖美な心霊の世界に魅入られた作家でもあった。

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今で言うなら、あぶない文学者なのかもしれない。
三島由紀夫は『眠れる美女』について「形式的完成美を保ちつつ、熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の逸品である」とした。
幽暗妖美といえば聞こえはいいけど、幻想に彩られた猟奇的・背徳的な世界なのだ。
アニメやマンガ、そしてドラマなどの自主規制の波はいずれノーベル賞作家にも及んだりしないだろうか。
ぼくは「片腕」をNHKラジオの朗読で聞いた。
当時はラジオも小説に馴染むきっかけ与えてくれたのだった。 

猿の惑星
さて1968年から今日この頃の話です。
「ひぐらしのなく頃に解」「スクールデイズ」といい、放送中止が続いていて、何かものすごく神経質になってきているけど、もう、そういう時代になってしまったのだろうか。
飲酒運転も厳罰化されたけど、本来、モラルの問題を法に委ねていくのは更に人間のモラルを弱体化するような気がしますね。
車などでは、スピード超過の警告音や飲酒検知装置の積載など、どんどん人間のモラルの問題が、自動的に機械に委ねられていきます。
自己判断も出来ないような人間に退化することはないのかなあ。
もっと視聴者に判断を委ねてもと思うけど、また別の声も上がって袋小路。
でも自主規制は誰の判断となってしまうのだろう。

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いつか「猿の惑星」となってしまった地球は2029年の設定らしいのだけど。
H・Gウエルズの「タイムマシン」でもそうだったけど、大丈夫か。
どくとるマンボウ
この頃はまた、狐狸庵先生(遠藤周作)とどくとるマンボウ(北杜夫)が純文学の人だったけど、幅ひろく人気がありましたね(「どくとるマンボウ青春記」がベストセラーになっている)。
二人とも軽妙なエッセーやSFやマンガ好きという共通項がありました(特に北杜夫、遠藤周作は女優オタクです)。
今や大作家の小林信彦も「オヨヨシリーズ」を書いていたし、当時からSF、マンガなどは差別されながらも可能性は大きく膨らみつつあった。
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小説もマンガもSFも映画もアイドルなどすこしマニアックな傾向は、この時代でなければ築かれなかったかもしれない。
画像は映画化された「怪盗ジバコ」。
映画は未見だけど原作は「カリオストロの城」をすこし思わせます。
永井豪
あれだけ「ハレンチ学園」で文部省・PTAから眼の敵にされた永井豪は、たとえば外務省・国交省が後援する「世界コスプレサミット2006」では審査員を務めたり、隔世の感がありますね。
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でもこの経験は、のちに「デビルマン」等の傑作を生み出すことにつながりますね。
永井豪の短編「ススムちゃん大ショック」は確か筒井康隆の傑作SF選にも収録されて、筒井康隆はファンクラブの会長も務めた。
また筒井康隆のファンクラブ「筒井倶楽部」の2代目会長だった幸森軍也は永井豪のマネージャーともなり、現在は作家。
いかん、いかん1968年の話でなくなってしまった。
ハレンチ学園
1968年は少年ジャンプの創刊年で、既存のマガジン、サンデーが多くの漫画家を抱えていて、ジャンプは新人中心で始めざるを得ず、やや過激となった。
「ハレンチ学園」は圧倒的な人気を博したけど、文部省、PTAなど世の顰蹙を買ったのだった。
勃興期はパワフルですね。

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まあ、勝手に言えば世の中に叩かれている時が、いちばんいい時なのかもしれない。もてはやされて芸術となり、大学の正課になるとは様変わり。求めたことだけど、もうそれは変質している?
今シーズン視聴率いちばんだった「イケパラ 花ざかりの君たちへ」も世の大半からはよく言われないかもしれないけど、あれはあれでなかなかすごいのだ。

アタックNo1
といってもこの頃人気を集めていたのは、やはりラブコメやスポ根ものだったろうか。
少年誌では「あしたのジョー」「巨人の星」、少女誌では「アタックNo1」「サインはV」が連載中で、もちろんアニメ化や映画化もされた。
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ぼく達は無邪気に読んでいたけど、「われわれはあしたのジョーである」と言ったよど号ハイジャック犯がいたように、文学だけでなくマンガはあるゆるところで読まれるものとなった。
劇的な展開の要素として、美しい物語としては不治の病というのもあって、白血病に限らず骨肉種、黒色肉腫となにやら恐ろしい病気が出て来ます。破傷風というのもあったなあ。
文学ではせいぜい白血病・結核ですが、このあたりにマニアックな志向がすで表れています。
「愛と死をみつめて」も難病だったけど。
真由子の日記
突然、映画からマンガに変わるのは理由があって「ミセス・ロビンソン」なのだ。

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大和和紀は「はいからさんが通る」「あさきゆめみし」などで著名なエンタテインメントの漫画家ですが、1970年に描かれた「真由子の日記」は少女の感性を私小説的に描き、絵もカット割りも当時としては極めて斬新なものでした。
「ミセス・ロビンソン」の詩も効果的に入れていたくらいだから読者層のずいぶん上を行っていたのではないだろうか。そして少女たちは読み込む力を持っていたのだ。
この頃はなぜか少女マンガにも嵌っていて「少女フレンド」「マーガレット」「りぼん」なども読んでいたのだった。
女性文学の始まりは日記文学でもあり、少女マンガの現代文学への影響は吉本ばななの例を見るまでもなく大きく、それもこの時代に始まりがあるのだろうか。
たまたま同時代に読んでいたからそう思うけど、知られざる名作ともいえ、今読み返すと再発見するものがいっぱいあるかもしれない。
映画のように幅広い認知ではないから、復刻などすれば意外に受け入れられるのではないかなあ。

卒業
「卒業」「俺たちに明日はない」「猿の惑星」に共通するのは、ラストが衝撃的な点ですね。

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「卒業」はあまりにラストが有名でシーンも鮮明に残るものだけど、ほんとうは気だるい気分の、ラストも実はあまり明るい未来を暗示するものではなかった。
ぼくにとっては大人の映画だったのだ。
サイモンとガーファンクルの「スカボロ・フェア」、そしてやはり「ミセス・ロビンソン」の曲が鮮烈に耳に残ります。
ローズマリーの赤ちゃん
「ららら科学の子」にしたがって1968年から始めよう…ということでまずは映画。
1968年を代表する映画を探してみると「卒業」「俺たちに明日はない」「猿の惑星」「ローズマリーの赤ちゃん」などが出てきます。
まだ映画館には行くことが出来ず、テレビの洋画劇場などで見ていた時代ですね。
でもうこの頃から映画に嵌っていたのだろう。全部見ている。
いずれも衝撃的というか、ずしんと残る映画です。

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「ローズマリーの赤ちゃん」は悪魔映画の代表作だけど、身近に起きうる恐怖を描いていて、あるいは狂気・妄想・現実のあやふやさを突いていて、明るい未来を屈託なく信じていたぼくを恐怖に陥れた。
日本にも永井豪の「デビルマン」という傑作がありますね。
アニメ「BLOOD+」なども亜種の悪魔ものとも思うけど、どうだろうか。
そしてこの手の作品は、今や永遠のテーマのように繰り返し小説でも映画でもアニメなど登場してきます。
ほとんどの人が知らなかった小さな窓をロマン・ポランスキーが、大きく開け放ったのかもしれない。
画像はその後収集したポスター。
るらら科学の子
このタイトルはもちろん 、矢作俊彦「ららら科学の子 」から戴いています。

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1968年から現代まで過去を振り返りながら、映画・小説・アニメ・マンガなど通じて語るのは楽しそうだし、まさにふさわしいタイトルなので。
別に担当しているブログもあって自由にも書いていますが、さすがにプライベートのように趣味で押し通すわけではありませんからね。
「るらら」はスピッツの「ロビンソン」。
科学が明るい未来を切り拓いてくれると信じた時代だけど、魔法・ファンタジーの時代でもあるとも思うし、それになかなか似合う不思議な歌です。
まあ、今日はその記念に「バテレン、レンコン、トマトア、マ?ックス!」と呪文を唱えておこう。
「セクシーボイスアンドロボ」のDVD-BOXの発売日だし。