理系・文系を重ねて見る光景は
文春砲は契機 一皮を纏ってこその人間
小室哲哉の不倫疑惑を報じ、炎上状態となってしまった週刊文春の公式ツイッター「文春砲(文春くん公式)」。
さすがに批判ばかりらしく、まあ、家族の介護の問題、カリスマとも呼ばれた音楽プロデューサー・小室哲哉が引退という結論を選んでしまったこと、芸能人と言えどもあまりに不倫というプライバシーを弄ぶような報道に嫌気がさしてきたこともあるのだろう。
しかし、一転して不買や廃刊を目指すような声まで上がるのはちょっと嫌な風潮である。
過度な不倫に対する風向きが変わりつつあるのはほっとするけど、まあ、彼ら週刊誌はジャーナリズムでもあり、商売でもあって誰も食いつかなければほっといても淘汰される。
多かれ少なかれ、こういうものがいつまでもなくならないのは人間はゲスくもあるからだろう。
文春砲は契機に過ぎず、他の多くのメディアもネットも騒がれなくなるまで貪りつくしたのに今度は一転、文春批判に風向きが変わるなど、毀誉褒貶が激しいなあ。
ホーレスは「愚かな人たちは一つの極端から解放されると、その反対のいっそう悪質な極端に走ろうとする」と言ったけど、これは愚かな人たちというより、人間すべての業なのかもしれない。

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週刊新潮や写真週刊誌フォーカスを創刊した新潮社の名物編集者 斉藤十一氏は「どのように聖人ぶっていても、一枚めくれば金、女。それが人間」と言ったのは極論だけど、まあ、否定もできない!?
TBSドラマ「アンナチュラル」でも中堂が 「人間なんて切り開いて皮を剥げばただの肉の塊だ。死ねばわかる」と言っていて、文系的にも理系的にも、あるいは生きていても死んでいても人間って一皮むけば身もふたもないなあ。

週刊誌のやることは昔から変わっていないのだけど、受け止める環境がネットとか表層的なものに様変わりして、よりゲスく大騒ぎになってしまうこともあるのだろう。
でも、かたや政治腐敗や桶川ストーカー事件など週刊誌の地道な取材が犯罪を暴くこともあり、こういう地道な取材も売れていないと継続取材できないわけで、時にはゲスく興味を掻き立てて売る必要もあって、まさにあざなえる縄のごとし。
まあ、どちらにしても人間の本性に関わるけど、だからこそ、ほどほどに。
やりすぎると、どちらもいつの間にか内側から、その一皮さえ貪りつくされてしまうぞ。
一枚めくれば金、女であっても、そして皮を剥げばただの肉の塊であっても、その一皮を纏ってこその人間ですからね。

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毀誉褒貶の激しいなか、斉藤由貴、小泉今日子など、さすがはアイドルを極め、大女優たりし者、覇道を悠々と往く。
まさにファム・ファタル、運命の女。
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雪の雑想 天からの手紙
48年ぶりに都心部で氷点下4度を観測したり、北陸、とりわけ福井では38豪雪、56豪雪以来の記録的な大雪に見舞われ、様々な被害も出ていて、今冬はやはり平年に比べてずいぶん寒いのだろう。
雪国でも寒さ対策というかインフラも以前に比べて整ったはずだけど、この混乱ぶりを見ると、昔の冬に逆らわず、冬の寒さと雪とも生きる知恵を持った時代の精神も悪くないような気もします。
食料は様々な工夫で保存され、家のなかでも出来る藁細工などの手仕事…てなわけにも戻れないけど残すべきはあるのだろう。
ここ岐阜は飛騨地方など山間部はずいぶんな雪国なのだが、岐阜市や僕に住む各務原市などは大雪なるようなことは少なくて、まあ、大雪といってもたまに20~30センチほど積もるくらい。
でも気温は間違いなく今よりも厳しかった。今では最低気温もせいぜい氷点下4度くらいだけど、子供の頃には氷点下8度~10度くらいはあったような記憶がある。
僕は子どものから雪好きで積雪深度や最低気温の記録も付けていたことがあったけど、もうさすがに見当たらない。
雪好きだからといって、犬ではないので庭かけまわりということもないけど、美しく積もった雪を汚すことなく、いつまでも美しくあればいいのにと、足を踏み出すのもおっくうなほどに雪は美しく無垢なるものだった。
とりわけ好きな雪はこの地方ではあまりない厳冬にしかないさらさらの粉雪で、それは降りはじめであっても小さな結晶のままに地に落ち、風に転がり結晶がさらに細かく砕かれながらも融けることなく、凍てつく地をあっという間に白く覆い、積み重なっていくもので見ていて飽きなかった。
夜に雪が降り出せば、2階の子供部屋からしょっちゅう窓を開けて、定規を屋根の雪に差し込んで降りやんではいないかと積雪を確かめ、深夜になってもときどきこっそり窓を開けて覗いてた。
朝は寒椿の花弁に降り積もった雪が、重さに耐えかねて花弁ごと落ちる音に目を覚ました。
雪に落ちた真紅の花弁にまた雪が降り積もっていくと、淡く雪が覆ってピンクになり、さらに積もってやがて白になる。
僕にとって雪は限りなく美しく、そしてすべてを美しく覆い尽くすものだった。
もちろん、子供の頃でもあまり雪のなかった冬もあったから、暖冬の年もあったはずだけど、今より間違いなく寒く、粉雪の降り積もるような厳冬も多かったのだ。
小学校の校庭の横には防火水槽があって、金網が張られているのだが、厳冬ともなると氷が昼でも融けず、日毎に厚さを増して、子供なら乗っても割れぬほどになり、おそるおそる淵を歩けるような年もあったのだ。

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雪といえば映画「アナと雪の女王」というのが大ヒットしたけど、僕はNHKアニメの「雪の女王」や「秒速5センチメートル」の雪のシーンが好きだなあ。
あの、子供の頃に見た冷たい粉雪やしんしんと降る雪と印象が重なるのだ。

「ただ生活をしているだけで、哀しみはそこここにつもる。陽に乾したシーツにも、洗面所の歯ブラシにも、ケータイ電話の履歴にも」とは、「秒速5センチメートル」で歌われた山崎まさよしの『One more time, One more chance』。
そうか、降り積もるのは雪だけではないのか。
きっと少年から大人への変わり目で知るのだろうけれど、そんなことにはさっぱり気づかず大人になってしまった。
「それは誰にもあるような ただの季節の変わり目の頃」 
こちらは荒木一郎「空に星があるように」からだけど、「ぎゃ、誰にもあるようなことなのか。ただの季節の変わり目なのか」

でもまあ、大人になっても中谷宇吉郎先生みたく「雪は天からの手紙である」という人もいるからなあ。
今日もまた厳しい冬が続く。

テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

春日狂想 西部邁さんの自死の思想
21日午前6時40分ごろ、東京都大田区の多摩川河川敷で、通行人から「男性が川に飛び込んだようだ」と110番通報があった。駆けつけた警視庁田園調布署が男性を救助し、病院に搬送したもののまもなく死亡が確認された。死亡したのは評論家の西部邁(すすむ)さん(78)で目撃情報などから自殺とみられ、同署で当時の状況を調べている。(産経新聞)

以下は以前のブログより再録です。
作家 芥川龍之介の遺書4通の実物が発見され、日本近代文学館でその複製が公開されている。
死を直前にしても丁寧に乱れなく書かれ、推敲の跡も残っているらしい。
子ども宛の遺書は「一 人生は死に至る戦ひなることを忘るべからず…」とあり、死は生まれ生きた人間にとって、とりわけ文学者などにとっては最大のテーマだったりします。
昨日の日経新聞のプロムナードに秋山駿が「言葉を可愛がるとは」として、中原中也の「春日狂想」があげられています。

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愛するものが死んだ時には
自殺しなけあなりません

愛するものが死んだ時には
それより他に 方法がない

で始まる中原中也の「春日狂想」は文学者のなかでも特別の感性、創作であるかもしれないけど、やはり死に対する戦ひの言葉のような気もします。
さらに秋山氏は「妻と僕」(西部邁著)を読んで、ようやくこの中也の言葉が解けたといいます。
重症のガンに侵された西部氏夫人は余命幾ばくもないと書き記され、二人で歩んだ半世紀近い人生を西部さんは淡々と振り返りながら、西部氏はこの本で「僕には自死の思想を手放す気は少しもありません」というのだ。
また評論家 江藤淳も妻の献身的介護ののち、自らも極度の疲労で病気となり、また軽い脳梗塞も発症した。
脳梗塞以降も何の問題もなく、原稿も変わらぬものだったけど、「脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は形骸に過ぎず…」と遺書を残し自殺してしまった。

馬車も通れば 電車も通る
まことに人生 花嫁御寮

まぶしく 美(は)しく はた俯いて
話をさせたら でもうんざりか?

それでも心をポーッとさせる
まことに 人生 花嫁御寮

ではみなさん
喜び過ぎず悲しみ過ぎず
テムポ正しく 握手をしましよう

つまり 我等に欠けてるものは
実直なんぞと 心得よして

ハイ ではみなさん
ハイ ハイ ご一緒に――
テムポ正しく 握手をしましよう

中原中也「春日狂想」より一部抜粋

人も世界も何も変わらないように続いていくのだが…。
耐えられない時も、耐え難い人もいる。

テーマ:日本文化 - ジャンル:学問・文化・芸術

フェイスブックの「盗聴」疑惑、AIの貪欲
友人や家族と特定の商品について話していたら、その翌日にフェイスブックでその商品の広告が表示された、という経験を持つ人は多い。フェイスブックは我々の会話を盗み聞きし、広告の表示に利用しているという陰謀論は盛んに報じられている。
英インディペンデント紙は昨年、サウスフロリダ大学でマスコミ論を教えるKelli Burns教授の「フェイスブックは人々の会話を盗聴している」との主張を記事にした。しかし、真相は未だ謎に包まれている。この噂はソーシャルメディアを通じて一気に広まり、先日は南カリフォルニア大学教授のJulie Albrightも同様な経験を報告した。「車の中で友人とレクサスについて話していたら、まさにその翌日、友達のフェイスブックにレクサスの広告が表示された。レクサスの広告が表示されたのは、それが初めてだったと彼は話している」
フェイスブックメッセンジャーのプロダクト責任者のStan Chudnovskyは、先日ポルトガルのリスボンで開催された「Web Summit」で、この噂を否定した。「これは一種の思い過ごしに過ぎない。単なる気のせいだ」
しかし、Albrightの投稿に共感を示す人々は多い。単なる偶然では片付けられないといった話も報告されている。Albrightの別の友人は「彼らは間違いなく会話を盗聴している。特定の商品名を話すと、その翌日に広告が表示されたという経験を持つ人は非常に多い」と述べた。フェイスブックのChudnovskyも、こういった事態が起こる可能性を否定していない。人々の会話に出てきた商品が、広告に表示されるケースは起こりうると彼は認めている。ただし、それは人間の認知的バイアスの結果だとChudnovskyは主張した。(フォーブス・ジャパン)

まあ、フェイスブックが企業生命にも関わる盗聴などするわけがないと思うけど、やっぱりネットとかAIとか人間の因果律を越えるような、見えないものに対する不安なのかなあ。
逆にフェイクニュースなどは自らが好んで都合のいい情報を選び取り、疑問にも思わなかったりするのだけどね。
まあ、認知的バイアスの誘導なども含めて技術的にも盗聴が証明不能なまでのレベルに達しつつあるのかもしれない。
認知的バイアスの効果を積極的に活用するような世界になれば、活用する側も活用される側も正邪ないまぜのスパイラルに入って、姿なき神のような集合体が生まれ、いずれ、その集合知が統べるようなってしまうのではないか。

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監視カメラだけではなく、スマホ、家電端末、衛星などからありとあらゆる映像、音、声を拾い上げていますからね。
何か有機的に結びつくようなことがあれば、あっという間にそういう社会になってしまうというのは杞憂ではないでしょう。
僕も昔、レンタルビデオでアダルトを借りるときは必ず普通の映画作品を2本以上に対して1本と、バランスというか傾向を知られないようにアナログな心掛けをしていたのだけど、今のように圧倒的なビッグデータのもとでは徒労。
剥き出しにされてしまうのだろうなあ。
このブログも多様を心掛けてはいるけど、AIなどに解析されれば傾向は明確に出るのだろうなあ。
いずれ、盗聴などという概念すらない丸裸の時代がやってくるかもしれない。
AIは貪欲だから与えられたデータに満足するわけはなく、無意識の呟きも心の葛藤のなかにも土足で入り込み、奪い取って、それさえデータ化していくかもしれぬ怖ろしさ。

画像は「ねらわれた学園」。管理社会を否定的に描くものだったけど、今では知らぬ間に管理が当たり前のように慣らされてきてるのかもしれません。いかに正義でも、便利なものでも過剰なるものには危険がつきまとうと思うのだけど。
放たれた蚊がもたらすのは…
米環境保護局(EPA)は、ジカウイルス感染症(ジカ熱)などを媒介する蚊を駆除するために、人工的に細菌感染させた蚊を「生物農薬」として自然界に放すことを承認した。細菌感染した蚊は交尾しても子孫を残せず、繰り返し放すことで蚊の群れを減らすことができる。殺虫剤を使わない新たな駆除法になると期待される。
実験室で育てたヒトスジシマカ(ヤブ蚊)に、昆虫に感染する細菌「ボルバキア」を感染させた上で、ヒトを刺さないオスを選んで自然界に放つ。自然界のメスがこのオスと交尾して卵を産んでも、染色体の異常で孵化(ふか)しない。繰り返し放すことで蚊の数が減り、最終的に駆除できるという。
ボルバキアは、ヒトには感染しない。ハチやチョウなども殺してしまう化学農薬に比べ、蚊だけを狙いうちできて生態系への影響も少ないとされる。モスキートメイト社は、ケンタッキー州などで細菌感染した蚊を試験的に屋外に放ち、効果や安全性を確かめた。ブラジルや中国でも、別の企業や研究機関などが蚊を使った同じ駆除法の導入を進めている。(朝日新聞デジタル)

果たして人類最大の敵というか哺乳類永遠の敵なる蚊にそんな手が通用するだろうか。
それに蚊とはいえ、意図的に染色体の異常を作り出し、子孫を残させないというのはいささか後味が悪い手でもある。
良し悪しはあっても長い因縁、付き合いなのに絶滅、根絶やしにするようなことはどうもなあ。
それに細菌感染した蚊は交尾しても子孫を残せず、繰り返し放すことで蚊の群れを減らすといっても、種の保存が生物の最大の使命、易々と、その呪われた運命に従うとも思えず、いつか変異体が登場し、一度は蚊を征圧したがゆえに弱体化するであろう人類はあっという間に新たなる蚊に凌駕されてしまうような可能性はないのだろうか。

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蚊はジュラ紀白亜紀以来、最強の生物に常に打ち勝ってきた、あるいは共生してきた奴だからね。
一見、環境に優しげではあるけど地球の自然の生態系のシステムもよくわかっていないのに、一部の生態系に手を加えるような手法に危険はないのだろうか。
殺虫剤はまさに毒々しいけど、目に見える分、その危険を認識できるけど、生物農薬なんて放たれら最後、もう認識できないからなあ。
やっぱり、いちばん優しく、最大の防御となるのは日本の蚊帳なのではないか。
実際、「マラリア防止に絶大な効果を発揮し需要が急拡大している住友化学の蚊帳 」というニュースはあったからね。
売れているのはアフリカで、なにしろ世界で毎年5億人がマラリアを発症し、100万人以上が命を落としているなかで、その約9割はアフリカのサハラ砂漠以南の地域、サブサハラで発生しているという。
そこで登場するのはマラリアを媒介する蚊から身を守るために、防虫剤を練りこんだ同社の蚊帳「オリセットネット」。
防虫剤のスローリリースができるオリセットネットは、洗濯しながら5年間の使用に耐えるとあって、マラリア対策向けに需要が拡大。やはり安全性については異説もあるらしいけど、まあ、よりアナログな技術のほうが安心な気もする。

日本の夏の風景にもよく合ったのになあ。
子供の頃はよく蛍を捕まえて来て蚊帳の中にも入れて遊んだし、蚊帳の上に枕を乗せて脚で蹴飛ばすなんてことも。
大人は大人で蚊帳に忍び入って、ちょっとエロチックな風景もあったりして。

蚊帳のなかに放ちし蛍夕さればおのれ光りて飛びそめにけれ(斎藤茂吉)