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理系・文系を重ねて見る光景は
古文書を巡る旅 史実を押さえてこその「JIN -仁-」
小説・映画・マンガ・アニメを奥深く、歴史のかなたに誘ってくれるのが古文書。
その断片が想像の飛翔となって物語を面白くします。
再放送が楽しみだったドラマ「JIN -仁-」だって、壮大な嘘(SF)ではあるけれど、デティールはけっこう史実に基くものですからね。
ペニシリンも蘭方医も花魁もかくあれかしと思うじゃないですか。
咲(綾瀬はるか)のような武家娘もいるにちがいない。
でもその史実の渉猟は並大抵ではない。
かつて漁業社会史の資料館を作るために漁村に眠る古文書を膨大に収集した国の事業があった。
しかし財政難で中止、20年の約束で借りながら返却されない古文書の山が数十年も放置された。
異色の歴史学者であり、そのプロジェクトのスタッフの一人だった網野善彦は古文書を写真に収め筆写し、目録に整理、原本に虫食いなどの破損があれば裏打ちし、所有者を訪ね、長年の非礼を詫びた。
国の責任なのにね。
そしてその旅は網野善彦が亡くなった今も終わらず、まだ多くの古文書が残されてるという。
こういうすごい人たちに支えられながら、研究が後世の糧となり、面白い作品世界が作られます。

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古文書返却の旅 戦後史学史の一齣網野善彦/著
日本には現在もなお、無尽蔵と言える古文書が未発見・未調査のまま眠っている。戦後の混乱期に、漁村文書を収集・整理し、資料館設立を夢見る壮大な計画があった。全国から大量の文書が借用されたものの、しかし、事業は打ち切りとなってしまう。後始末を託された著者は、40年の歳月をかけ、調査・返却を果たすが、その過程で、自らの民衆観・歴史観に大きな変更を迫られる。戦後歴史学を牽引した泰斗による史学史の貴重な一齣。

今や公文書の管理も怪しくなっているので、一層、市井に残るものが大切になってくるような気もするけど、そういうものまで便利で効率のいいデジタルなものだけで大丈夫だろうか。
都合よく消し去ることもできて、またさらっと読み飛ばすのでもないだろうけれど、古文書を写真に収め筆写し、目録に整理、原本に虫食いなどの破損があれば裏打ちし…という作業は単に無駄とは思えない。その膨大な過程を経て民衆観・歴史観に変更を迫られたのだ。デジタルで効率化は計れるけど、すべて代替できるわけではない。
というわけで、映画関連のポスターなど紙媒体の収集をしています!?
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テーマ:歴史雑学 - ジャンル:学問・文化・芸術

岐阜 自由書房の閉店
岐阜市の老舗書店の自由書房が、岐阜高島屋(同市日ノ出町)に入るEX高島屋店と、同市内の鷺山店、県庁店の全3店舗を閉店する。旗艦店の高島屋店は16日までの営業で、7月中旬以降は京都市に本社を置く大垣書店が書店をオープンする。
自由書房は1948年設立。2003年に閉店した大衆書房(岐阜市)とともに、岐阜を代表する書店として市民に親しまれてきた。高島屋店は当時の県内最大規模の書店として05年にオープンし、専門書の充実を図るなど柳ケ瀬の文化の発信拠点として中心市街地のにぎわいを支えてきた。(岐阜新聞)

とうとう岐阜最大の老舗書店だった自由書房も閉店するのか。もうずいぶん前から支店は縮小されてきたし、当初は珍しい専門書も多くあって最大の品ぞろえを誇ったEX高島屋店も専門書が消えていき、品ぞろえもボリュームも落ちてきていたから厳しかったのだろう。
まあ、リアル店舗で厳しくないところなどないのだろうけれど。
アマゾンジャパンが従来の書籍の再販制度を打ち破る「買い切り」を始めたり、取次機能を持ち始めたりして圧倒しつつある今、既存の書店、取次も大胆に変わらざるを得ず、それも一部の大手に限られてしまうのだろう。
だいいち、出版不況のもとには本・雑誌・新聞をはじめ、活字を読まなくなってしまったことにもあるのだ。
みすず書房は学術書などの良心的出版社の典型だけど、「本は生まれる。そしてそれから」(小尾俊人著 みすず書房創業者)のなかでこんなことを言っている。
「さまざまなメディアの出現によって、洪水のように情報が溢れ、情報の取捨のなかに迷いこんだ社会は、大きな人間疎外状態に置かれております。大衆社会とか、グローバリゼーションとか、均一化された世界市場とか、そうした方向づけは、間違っています。インディヴィデュアル(分けることのできない最少単位)である、人格の「個性」を、「本」と親しむことによって、磨きたいものです。「そして、それから」が初まります…」
伊坂幸太郎も「映画や音楽に比べると本は一人ひとりが個人的に楽しむもので、皆でワーッと盛り上がるものではない」と言っていた。
そうしたありようは書店も同様で、かつて街の本屋は品揃えや店主などにも個性があって、愛想のない無頼のような書店などにも文化を担うという誇りが隠されていた。
そんななか、政府は2020年度版「統合イノベーション戦略」のなかで新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、デジタル化の遅れが明らかになったと指摘。危機感を持ってデジタル化を加速させることや、停滞している産学連携活動の下支えなどを明記して7月中旬にも閣議決定するとあった。
利便性や効率、グローバル化ばかりの戦略は本などの紙媒体の衰退、ひいては文字文化の衰退(文字が失われるわけではないけど、少なくともローカルな多様な言語は消えていく)となり、また紙媒体に活字として固定されたものがおぼろげにもたらすような想念、熟考的なものがもたらすであろう様々な文化はデジタル化の中では生まれるものなのか、生まれてもあっという間に消えたり、消されたりもするのではないか。
日本は地政学的にもアジアの極東に位置した島国であり、文化も自然も様々にガラパゴス的と揶揄されるものも少なからず保持し続ける環境にあるともいえ、強みと考えていい部分もあるのでないかなあ。

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ブックカバーも各書店個性があって、先の自由書房のブックカバーは安野光雅作品だった。
書皮友好協会というのがあって、自由書房は第10回書皮大賞受賞を受賞している。
でも最近ではゴミ軽量化、環境問題、また経費の削減からも減る傾向にもあって、歴代の大賞受賞店では、閉店したところも多いらしい。地方文化の担い手は厳しいのだ。

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以前、「面白半分」という雑誌が日本腰巻大賞というのやっていたけどどうなっただろうか。
本などの紙文化は実用ばかりでなく、こんな妙なこだわりも生み、さらなる文化の萌芽が生まれてきます!?

テーマ:日本文化 - ジャンル:学問・文化・芸術

宮崎駿紙上博覧会
おまちかね、紙上博覧会の最後!?を飾るのは宮崎駿監督です。ぼくは「未来少年コナン」からですね(現在NHKで再放送中)。
初演出作品だから宮崎さんの若き熱い思いが結集しています。
第1話でのコナンとラナとの初の対面場面では、コナンが一目見たとたんにこの子ために一生生き抜くぞと頑張るような美少女でなければいけないのに、そしてラナを抱え上げる時には鳥のように軽やかでなければいけないのに、ブスで、おまけにヨイショって持ち上げてると怒り狂って原画チェックを大塚康生から取り上げてしまったといいますからね。

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「未来少年コナン」のすべてが詰まったアニドゥの本。意に染まぬ劇場版が公開されたときはこんな檄文を書いている。

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大型版のポスター、まだ部屋に貼ってあるなあ。「カリオストロの城」のカラースチール。右側は映画チラシ。
クラリスは宮崎美少女の完成形。そりゃあ、一生守り抜きますって、たとえ離れていても。

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ナウシカはメッセージ性も強く出て、なおかつ活劇エンタテインメントの名作。海洋堂のガレージキットで腐海の森の人。

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「宮崎駿・大塚康生の世界」ルパン三世はもとより「ホルスの大冒険」「長靴をはいた猫」「パンダコパンダ」も紹介されています。
冒険活劇マンガの傑作「天空のラピュタ」のシナリオ。あとはパンフレットやチラシ。

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「となりのトトロ」のカラースチールとチラシの各種。
ヨーロッパを舞台にしなくてもかくも美しい日本のファンタジーができると知らしめた名作。

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「パンダコパンダ雨ふりサーカス」「となりのトトロ」のポスター。トトロの原型はパンコパと言われています。
1990年のカレンダー、なかなか楽しいシーンが描かれています。

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こちらは雑誌アニメージュの付録だった1988年の「トトロ」のちびカレンダー、毎月コマ送りになっている優れもの。
同様の「火垂るの墓」のちびカレンダーもありました。

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プラモデルも買っているなあ。こちらは「風の谷のナウシカ」より公開記念のスチロール製メーヴェ。風のように飛びます!?
「私はメーヴェが好き。ガンシップは風を切り裂くけど、メーヴェは風に乗るのだもの」

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「魔女の宅急便」も好きだったなあ。おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

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「魔女宅」の掛け時計。今もきちんと動いています。

岐阜羽島に羽島映画資料館というのがあり、ずいぶん前にポスターを見せてもらったことがあるのだが、「白蛇伝」のポスターがあって、「おおっ」と思ったことがある。展示されたりはしたのだろうか。

とりあえず、私的紙上博覧会はここまで。またいつかやると思うけど。

テーマ:漫画 - ジャンル:アニメ・コミック

天文学的時系列で動いている人々 見上げてごらん、夜の星を
キヤノン電子が開発した地球観測衛星「CE-SAT-IB 」が2020年7月4日朝、ニュージーランドのマヒア半島から米Rocket Lab(ロケットラボ)の「Electron(エレクトロン)」ロケットで打ち上げられる。2017年にインドのPSLVロケットで打ち上げられた実証衛星1号機「CE-SAT-I」に続く2号機となる。 CE-SAT-IBは、50×50×85センチメートル、67キログラムの超小型衛星。地上を撮影する望遠鏡にキヤノン製EOS 5D Marck IIIカメラを採用し、民生品を利用して分解能90センチメール(一辺が90センチメートル以上のものを識別できる性能)と高機能な衛星を開発する実証機となっている。1回の撮影範囲は5キロメートル×3キロメートルとなる2号機は、1号機から踏襲した反射望遠鏡、磁気トルカ(姿勢制御装置)などに加え、新たに開発した衛星の姿勢を制御するためのセンサやアクチュエーターなどを搭載しているという。今後は部品の内製化率を格段に高め、量産化に向かう目標がある。軌道上で2年間の実証実験を行う予定だ。 (ヤフーニュース 秋山文野 フリーランスライター 翻訳者)

民間の宇宙開発では堀江貴文氏らのロケットベンチャー、インターステラテクノロジズの観測ロケット「 MOMO」などがよく話題になるけど、地球観測衛星でもずいぶんすごいことをやっているのだね。こちらはもう実用レベルに近づいているし。

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ずいぶん以前にもやはりキャノン系列のキヤノンオプトロンが100億光年離れた星の光も分析できる天体望遠鏡用の巨大なレンズを製作したというニュースがあった。ガラスより高性能な蛍石製で1枚が直径40センチ、重さ20キロ。地球から見た様々な銀河の分布を示す宇宙地図を作成するのに使用されるもので、米スミソニアン天文台から1991年に受注、15年かけて完全納品したという。
従来のガラスレンズでは20億光年までしか分析できず、要望に応えるために蛍石レンズとなったが通常は大きくても25センチ前後、大きいほど製造が困難なため受注する会社がなく同社が引き受けたとあって、蛍石のかけらを溶かす専用の大型電気炉の導入から始めたというから、生産性・効率性ばかりの収益を得る事業が脚光を浴びるなかで、やはり地道な製造業はえらい。
それにしてもレンズに15年ですよ、さすがに天文学、発注する学者も受注する企業も天文学的時系列とは言わないけど、なかなかの時系列で動いてる。天文学的時系列で動くってことはほぼほぼバカですからね(誉め言葉です、最大級の)。
と、このブログにもかつて書いたのだが、キャノンって地球の精密な観測もしているのか。
キャノンは子会社にスペースワンというのもあって国内初の民間ロケット発射場の建設を始めているし、小型衛星用のロケット打ち上げも近く準備もしているのだ。
ロケットベンチャーともなるとすぐの成果も求められてしまうけど、成功の影には数多の天文学的時系列で動いている人々、会社もあるに違いなく、まさにこういう人々、会社が背景に控えてるキャノンだからなあ。
まあ、このグローバルな時代、そんなばかりでやっているのではないのだろうけれど。
たとえ陽が当たらずとも地道にすごいこともやり続けてほしいものです。

画像は映画「見上げてごらん、夜の星を」。
僕は中学生の時、科学部という同好クラブがあって天体観測もしたのだが、初めて月のクレーターを見たときは感動した。こんなところにささやかな幸せ、希望が生まれ、科学への好奇心、未来への進歩とも繋がるのだろう。
すべてはささやかな、地道なものから始まるのだから、たぶん。

テーマ:星・宇宙 - ジャンル:学問・文化・芸術

山崎ハコ紙上博覧会
山崎ハコというとおそらくすごい暗いイメージがあるけど、あるインタビュー記事の本人のコメントによれば、当時の人間嫌い、根暗、喋らない、というイメージは全て事務所の指示で、さらに、お金や彼氏を持つと歌がダメになると言われ、満足に食事も出来なかったらしい。そうだったのか。それにしてもある種の親心だったかもしれないけど、やはりちょっとひどい。
ぼくが録音していたNHKのラジオライブでもほんとうにぼそぼそと話していたのだが、必ずしも本人の意思ではなかったのだ。
しかし、デビュー以降その事務所の影響か、さらに歌は暗くなっていった。

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ギター弾けないんだけど、思わず買ってしまった。

もともとアイドルのような容貌の美少女で、森田童子と並んで暗い歌が多かった。
「呪い」などはもう伝説ですね。「からす」もすごくて、もう、ぼくもさすがについていくのがしんどくなった。
病気がちで痩せていて自動ドアすらも開かなかったという噂もあったけど、あれも事務所の宣伝か、指示の果てなのか。
でも、ああいう歌には惹かれるものがあって、寺山修司、五木寛之など作家・文化人からも人気が高かった。
それがよかったのかどうかさっぱり分からないけど。でも寺山修司作詞の「テンポイントの詩」は好きです。
NHKもオタク系の人が多いから惹かれるのだろう。まだよく知られていない、ずいぶん早い時に特集番組もあったりした。
NHKはやはり鬼塚ちひろの特集をしたこともあって、こういう壊れそうで繊細なアーティストが好きなのだね、きっと。
山崎ハコは山・土の香りがするのに対し、鬼塚ちひろは海の香りがした。
ちなみに森田童子は都会の孤独をイメージする。それぞれ、僕のイメージに過ぎませんが。

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雑誌の特集から。アルバムのいろいろ。
強く生きて。死んで咲く花など、ありはしないのだから。

山口百恵に曼珠沙華(彼岸花の別名)という大ヒット曲があるけど、山崎ハコには「花枕」という同じく彼岸花を歌った暗く呪わしい歌もある。毒をその身に抱えているからだろうか。

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誌とモノローグで書かれている本。
山崎ハコの出身地は酷暑で有名な大分日田町で、この本によれば故郷の三隈川では岐阜の長良川のような鵜飼もあるという。
僕の生まれ育った岐阜も熱くて木と水の国で、同じような風景を見て育ったのだが。

テーマ:女性アーティスト - ジャンル:音楽